かぐや姫と法律
かぐや姫という日本の昔話を、法律の観点からみてみました!
自分の持っている知識で読み解いたものです、フィクションとしてお楽しみください。
物語の始まり
むかしむかし、あるところに、貧乏なおじいさんとおばあさんがいました。
おじいさんは、まいにち山で竹をとる仕事をしていました。
あるひ、ぼーっと輝いている竹をきると、中に女の子がいました。
「これはかわいい子じゃ。」
おじいさんは、手のひらにのせてうちへ帰りました。
おばあさんは、かぐやひめという名をつけました。
#おじいさんがかぐやひめを連れ帰ったのは合法か
かぐやひめは月から来た女の子。
でももし地球の子どもだったら?親がいるかいないか、親に捨てられたか捨てられてないかで決まるのかな?
・刑法224条 未成年者略取及び誘拐
未成年者を略奪し、又は誘拐した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。
誘拐された人へのに関する侵害、また、未成年者であれば保護監督者の保護監督権侵害
・略取、誘拐の意義
人を従来の生活環境から離脱させて自己または第三者の事実的支配の下の置くこと。
かぐやひめが親に捨てられていたとすると...
おじいさんは保護したわけで、責任はかぐや姫の親にある。
・刑法218条 保護責任者遺棄等罪
老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。
おじいさんがかぐや姫を誘拐したように見えないし、月にいるかぐや姫の親の保護責任者遺棄罪が成り立つかな...?
まあ、日本の法律なので月の人間に適用できないと思いますが。
それからというものの、おじいさんが竹をきるたびに、なかからこがねがざくざく。おじいさんのうちは大金持ちになりました。
かぐや姫もみるみる大きくなり、輝くほど美しくなりました。
「ひめや、5人の男から嫁にほしいと申込を受けている。」
おじいさんがいいました。
「私の欲しいものを見せてくださった方のお嫁になりましょう。」
おじいさんは姫のほしいものを5人にひとつずつ伝えました。
#婚約は成立している?
かぐや姫はおじいさんに、欲しいものを見せてくれた人と結婚するといいました。
婚約、つまり婚姻契約は、男女間の合意のもとで成立するので、この段階ではまだ婚約成立とは言えませんね。婚約には、書類などいらず、一般的に指輪の交換などの儀式がなされます。
このような契約があることで、両者は義務を負いますが、法的に強制されているわけではありません。
阿部の右大臣は、火に燃えない唐土の国の火ネズミの皮衣をと、いわれました。右大臣は、家来に買ってこさせました。でも、姫の前で火をつけると燃えてしまいました。
#錯誤?
家来に買ってこさせたら、そりゃあ本物なんて手にはいりません。
右大臣は、自分で見つけてきていないので、本物だと思い姫と結婚できると期待したことでしょう。結局婚約は不成立。
家来も本物だと信じていたならば、唐土の国での売買契約に錯誤があったことになりますね。もしくは火ネズミの皮衣の売り主の詐欺か...。
もう燃えてしまいましたが契約を取り消すことはできるでしょう。
大伴の大納言が言われたのは、水の底にいる龍の首の五色のたまです。
大納言が、船で探しにいくとたちまち大嵐。
船が沈んで海の中へ放り出されてしまいました。
いしづくりの王子は、天竺の石の鉢をと言われました。
3年山に隠れました。
そして山寺の古い石の鉢を持ってきました。
「天竺の石の鉢は光っているはず、偽物でしょう。」
#詐欺...かな
3年も待ち続けてウソを通そうとするなんて逆にすごい気がします...。
とにかく、この契約は物々交換ではなく、婚約という自身にかかる契約なので、かぐや姫は慎重になったのでしょうか。まあ、最初から結婚する気はなかったようですが。
でもこの要件だと、かぐや姫はだまされていないので、詐欺というわけではないですね。
くらもちの王子は、ほうらいざんのたまの枝をと、言われました。
王子は鍛冶屋に偽物を作らせました。
本物のようにできましたが、鍛冶屋が手間賃を取りにきたので、ウソがすぐばれました。
#詐欺不成立
手間賃を取りに来る鍛冶屋がいなかったなら、かぐや姫はだまされていたかもしれませんね。危ない。
これも一個前と同じように、だまされていないので、詐欺不成立。
いそのかみの中納言が探すのは、つばめのこやすがいです。
つばめの巣から取ろうとして、高いところから足をふみはずしてまっさかさま。
これで5人とも大失敗。美しいかぐや姫のうわさは、帝にまで聞こえました。
帝は御殿へ来るように言いましたが、姫は断りました。
#帝には逆らいにくい?
今は日本国憲法で民主主義をとっていますが、昔は中央集権国家でした。
なので内閣というものもなく、主に帝やごく一部の者が国について決定したり。
今では、結婚は自由ですが、このかぐや姫のころはそうではなかったのでしょう。
それから3年。かぐや姫は月をみて、よく泣くようになりました。
自分は月に住む天女だといいました。
「十五夜に迎えが来ます。」
「かわいい姫を月へ帰してなるものか。」
驚いたおじいさんは、帝に姫を守ってもらうように頼みました。
#かぐや姫の国籍は月?
かぐや姫はじぶんは月から来たと打ち明けました。なので、日本人、というか、地球人でないことは明らか。
外国人?の人権として、保障されていないものはいくつかあります。
・入国の自由は認められない
憲法22条一項に、居住、移転及び職業選択の自由、外国移住及び国籍離脱の自由について書かれているが、外国人が入国することについてなんら規定していない。国家は受け入れる義務もない。
ただし、出国の自由は認められる。
だから、かぐや姫は違法?に入国したけど、今から月に帰すのは自由。
まあこの当時は帝がトップなので、帝が帰さないようにしていますが。
十五夜の晩が来ました。
「おじいさま、おばあさま、御恩は忘れません。でも私はどうしても月に参らなければなりません。」
3人が泣き続けているうちに月が出ました。
月から天人たちが迎えにくると姫を守る侍たちは目がくらみました。
「竹取よ、さあ かぐや姫を天にのぼるくるまの中にお渡しなさい。」
天人が言いました。
かぐや姫は、羽衣に着替えると、くるまにのりました。
「おじいさま、おばあさま、みなさま さようなら。」
姫は天人たちに見守られて月へのぼっていきました。
下の映画はかぐや姫の物語です。
かぐや姫は、絵本で見ると一見シンプルですが、実は様々なかぐや姫の心情があるのです。それが描かれているのがこの映画です。
悲しく儚い、かぐや姫の地球での生活が描かれています。
本物のかぐや姫を知りたい方、
おもしろいので興味持った方はぜひ!
おしまい